717:アカネ:WEGO『』
少し遅めに起きた朝、少年は汗ばんだタンクトップを脱ぎ捨て、綺麗に折り畳まれていたTシャツに袖を通した。なんだか今日はいい日になりそうな気がする。それは空が晴れていたせいか、それともお気に入りのTシャツを着ていたせいか。アカネは感じた期待を胸に、冷やしトマトを頬張りながら家を飛び出した。 |
718:アオト:WEGO『』
忘れたい出来事があった。それは、忘れてはいけない出来事だった。脳裏をよぎる走馬灯は心を打ちつけ、外は激しい雨が地面を打ちつけていた。そっと、頭にはめたヘアバンド。それは湿気でふくらんだ髪の毛を押さえつける為か、それとも脳裏の思い出を押さえつける為か。アオトは一人、鏡の中の自分を見つめた。 |
719:ミドリ:WEGO『』
放課後、いつも隣には一人の親友がいた。バーガーショップで話し込んでみたり、カラオケではしゃいでみたり、雑貨屋で可愛い小物を眺めてみたり。フリフリな洋服を好んだ親友と、ボーイッシュな洋服を好んだミドリ、そんな対照的な二人は趣味は違えど親友の証にと、お揃いの缶バッジを鞄につけていたのだった。 |
875:ユカリ:WEGO『』
それは少女に訪れた休日。骨を抜かれて蒸された、姿形留めることなく銀色に包まれた命と、氷点下の世界で凍らされ、その身を削り落とされた命と、さぁ、選びなさい。少女の意味不明な問いに、にゃあと答える愛らしい猫。そんな猫がプリントされたパーカーに身を包んだユカリの手には、猫缶と鰹節が握られていた。 |
1340:ヒカリ:WEGO『』
少し肌寒い夕暮れ、ヒカリはお気に入りの半袖パーカーに袖を通し、シュシュで綺麗に束ねた髪を揺らしながら向かったのは、いつかの待ち合わせ。お待たせだよー。そして、そんな少女を待っていた4人の少年少女。あれ、まだ誰かさんは、来てないみたいだね。そして、5人の少年少女は、最後の1人を待っていた。 |
1341:ギンジ:WEGO『』
遅ぇーぞ。遅い。遅刻だね。待ちくたびれたわ。私もさっき来たとこだよ。5人の少年少女は、1人の少年を心待ちにしていた。セットに、時間かかっちまったんだよ。トレードマークの銀髪に合わせたTシャツ、少しはにかんだギンジがそこにはいた。そんじゃ、行こうぜ。そして6人は歩き出す。まだ見ぬ、未来へと。 |
1476:オズ:WEGO『』
それはいつかの休日、温かな午後のひと時。オズが家族と共に訪れたのは、緑の生い茂る公園。澄み渡った青空の下、広げられた色とりどりのお弁当。さぁ、今日は家族サービスです。種族の異なる六体の家族は、言葉は交わせずとも、気持ちを交わしあっていた。そして、気が付けば、まどろみへと落ちていたのだった。 |
1477:ドロシー:WEGO『』
ここはどこなの、私は誰。ドロシーはまどろみの中、必死に走り回る。あなたは、今日からドロシーです。それは、いつかの出会い。再び巡り合った六人は、家族という絆で結ばれ、安らかな寝顔を浮かべていた。きっと離れていても、家族は家族です。二度と会えなくても、家族だったことに変わりはありませんから。 |
1931:クロウリー:WEGO『』
新たな活動の為の資金が必要だ。その言葉を受けた北従者は、Tシャツをデザインした。ヘアメイクは私に任せて。東従者のセンスが光る。どの角度が美しいか、それは私が一番知っている。南従者が持ち出したカメラ。僕、興味ないから。ただ傍観する西従者。そして、カリスマモデル・クロウリーは完成したのだった。 |